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特別競輪
被災地支援競輪 第65回日本選手権競輪
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 チャンスは9分の1。しかし成田和也の第一目標は「山崎をアシストすること」だった。グランドスラムを目指した山崎が絶好の中団を確保。山崎が2センターからまくって出ると、成田は迷わず内にコースを選んだ。
 「山崎が長塚とハウスしたのが見えたんで、厳しいなと思って内に行った。結果、外を行っても届いてなかったでしょうね。いい感じで空きましたね。抜けてからですかね、ゴール直前で優勝と分かりました」
 ゴール後は「勝っちゃったよ」と話す成田の手を山崎が持ち上げ、勝者を称えた。直前も宮古島で山崎と合宿をし、今大会も準決勝、決勝で連係。「山崎と喜びを分かち合えれば」と笑顔で振り返る。
 昨年は3月11日に東北地方を未曾有の震災が襲った。成田も新潟に移り、練習は福島で。片道1時間半かけての移動など、影響は残っている。
 「まだ原発の問題もあって、色々不安のなかでみんな過ごされてると思うんですけどね。今までは競技をやっていたので3月というと世界選を目指してやってきたんですけど、それも去年辞めたんで。それからはこのレース(ダービー)に全て賭けるぐらいの気持ちでやってきたので、嬉しいです」
 昨年は獲得賞金でGPに滑り込んだが、今年は一番乗りで出場を決めた。
 「優勝したいとは思ってましたけど、そこ(優勝)まで考えてなかったので。これからそれを感じるんだと思うんですけど、またグランプリに向けて少しでもいいレースをできるように練習、レース気合入れて頑張りたいと思います。これからも期待に応えられるように頑張ります」
 中部、近畿だけじゃない。新たにダービー王という称号もゲットした成田が、北日本勢の反撃に大きな刺激を与える。

 グランドスラムに王手をかけた山崎芳仁。バック通過は絶好の中団。準決勝で見せた驚速のまくり脚を発揮、と思った矢先。思わぬアクシデントが襲った。
 「ちょうど踏み込んだ時(終2センター)で長塚さんとハウスしちゃいましたね。組み立て自体は良かったと思います。今回、動き自体は悪くなかった。復活、というよりこれからですね」

 単騎の小嶋敬二は見せ場を作れず…。「ラインが必要だということを実感しましたね。ギアを上げたのも失敗。スピードどに乗り切れなかった。今回は調子よかっただけにもったいない」と言い残し帰郷の途に就いた。

 鈴木裕は初めての特別決勝とは思えないほどの落ち着きで主導権を握った。深谷を相手にしても全く動じず「準決勝と同じように、深谷が早めに斬るようだったら3番手でいいと思ってました。あまり緊張もしなかったし、力は出し切れたかな。ダービーの決勝に乗ったことは気にせず、これからもしっかり戦っていきたい」

 開催中から本調子ではないと話していた村上義弘だが、最高の舞台で見せ場を作った。連覇の夢は潰えたが、「チャンスがあるとしたら、あの仕掛けしかないですね。少しゆっくりします」。

 長塚智広は「三番手の競走は難しいですね。脚がないな。頂上決戦ではもう少し脚がないとダメですね」。

 目標の深谷は不発。園田匠は自ら活路を切り拓くべくインコースを強襲したが…。
 「深谷の動きを待ってからだし、2センターで成田さんに踏みたいコースを行かれた。迷わずに突っ込まれたしさすがですね。(自分は)バック9番手からでしたけど、深谷にいいスピードをもらえたし、伸びた方です。直線では気持ちよく脚が回りました。3着ならやった方ですよ」

 2センターでインから抜け出し、ゴール寸前までVが見えていた岡田征陽だが、熊本名物“滑走路”に泣き、初の戴冠はならなかった。
 「(村上を)止めに行ったのは正解だったと思うけど、内に差し込んでしまい前に踏んだんです。2センターで前に突っかかってしまい、ゴール前は思うように脚が回らなかったし、きれいに踏めなかった。それにしても直線が長いですね。力不足でした。本当に悔しい!」


レース経過
 号砲と同時に成田和也が勢い良く飛び出してスタートを取る。成田が山崎芳仁を迎え入れ、山崎—成田で前受け。単騎の小嶋敬二が続き、深谷知広—園田匠、鈴木裕—岡田征陽—長塚智広、村上義弘が最後方の順で隊列は落ち着く。
 赤板過ぎの2コーナーから鈴木がゆっくり上昇。中団の深谷にフタをしてから踏み上げ、最終ホーム手前で主導権を奪う。単騎の村上が続いて四番手、五番手に山崎、村上を追うのを止めた小嶋は七番手、深谷は八番手に置かれる。ピッチを緩めていた鈴木は最終1コーナーからスピードを一気に上げていく。2コーナーからまくり上げた村上だが、車はあまり進まない。2センターで車を外に持ち出した山崎が外を伸びるも、俊敏に内を突いた成田が鮮やかに突き抜け、ダービー王に輝いた。2着は山崎、内からしぶとく伸びてきた園田が3着に入った。

 

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