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特別競輪
第28回共同通信社杯競輪
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 最後の最後で勝ちにこだわった。そして決めた。「優勝以外はいらないと思っていた」と振り返った武田豊樹が、タイトルホルダー7人が集結した第63回高松宮記念杯を制した。
 現在は茨城籍だが、北海道斜里町の出身。「函館からは遠いですけどね。生まれ故郷だし、両親も住んでいる。(この)開催が決まったときから意識していました。なかなか取手(競輪場)でG1を開催される機会がないですし、函館も今回が初めて。最初で最後の地元G1だと思っていた」。
 その言葉通り、初日から気迫がこもっていた。「勝ち上がりの段階でしっかりと気持ち入れて先行ができた」。初日の『青龍賞』、そして準決勝で先行、残る2日目の『龍虎賞』もロングスパートで最終バックを奪取。白星こそないものの、1度も確定板を外さない、安定した走りでファイナルを迎えた。
 そして冒頭のセリフ。「相手を考えても、優勝を狙って先行するのは厳しいと思っていた」。決勝は内容を捨ててまでも1着を求めた。
 「今日は深谷(知広)君を内か外に置いて走るしかないと」。
 レースは打鐘過ぎに飛び出した脇本後位で、外にいる深谷と3番手で併走に。ほぼ理想に近いレース運びで、大漁を手繰り寄せた。
 「深谷君をうまくコントロールしながら内にいることができた。逃げる脇本君(雄太)のスピードが落ちないですからね。そうなれば内(自分)が有利だと。あのスピードなら、後ろからまくりが飛んでくるはずもない。あとは(前にいる)村上(義弘)さんの動きだけを見て…」。
 Vロードも見逃さなかった。バック立ち上がりから深谷がまくり上げ、村上が牽制しつつ前に踏んだ隙に生まれた僅かなコースに飛び込んだ。タイミング良く村上を弾くと、脇本を交わして3度目のG1制覇のゴールに飛び込んだ。「嬉しい。今はホッとしているのが正直な気持ち。今日は追い込みの決まり手になったけど、4日間自分の走りを納得して終えられた」。
 これで3年ぶりにタイトル奪取でのGP出場となる。今後に向けては「自分の先行にもっと磨きをかけたいというのが1番。どうしても先行力というのは、年齢と共に落ちていってしまう。もう1度自分に厳しく向き合って、先行力を維持する練習を見つけていきたい」。
 GT制覇後でもこの言葉。飽くなき探究心とパワーアップを目指す姿勢が、輪界の世代交代を簡単には許さない。

 2着は脇本雄太、3着には武田マークの神山雄一郎が入って、それぞれ初めて、久しぶりとなるGT表彰台となった。
 戦前の予想通り、レースを作った脇本雄太。「いつも通り走ったつもりだったが、やっぱり緊張しすぎていた。深谷君に先行させまいと意識しすぎた」。それでも、前日に話していた「自分が駆けても、深谷君にカマされるパターンが多い」と話していた展開にはさせなかった。「ペース配分がどうとか考える余裕もなかった。打鐘過ぎに、深谷君が3番手の外にいるのを確認してからは、1度も後ろを見ていない。とにかく精一杯でした」。自身、そして後位の村上義弘が勝つレースとはならなかったが、結果はG1準優勝。「(結果は)悔しいと言えば悔しいけど、やりたいことはできた。ギアを踏みこなすパワーだとか、自分に何が足りないのかよくわかったレースだった」。必ず未来に繋がる一戦となったのは間違いない。そして何よりも「深谷君よりも、先行に対する想いというものを示せた」。この言葉に、脇本雄太が脇本雄太たる所以を表した。内容でも着順でも深谷知広を撃破で、GTタイトルもすぐ手の届くところまで迫った。これからの成長にも大いに注目したい。

 「4着だと思った」と話した神山雄一郎は「久しぶりの表彰台、しかも武田君と一緒でね。嬉しいとしか言えない」と笑顔が弾けた。「ちょっと自分が勝ち切るまでは厳しいかなと思ってた。武田君に何とか頑張ってもらって、自分は何とか喰らいつくしかないと。いやー、超疲れました」。前人未踏の生涯獲得賞金25億円レーサーは、まだまだこれからも賞金を積み上げる。

 準決勝に続く脇本との連係、最終バックでは絶好のポジションにいた村上義弘だったが…。「勝った人が強かったという事。『敗軍の将は語らず』ですよ。ワッキー(脇本)も強かった」。腰痛に、初日も落車スタート。満身創痍の中での大一番に気力を振り絞って挑んだが、最後は完敗を認め、勝った武田を、そして見事な成長を遂げている脇本を称えた。

 大会連覇に挑戦した深谷知広だったが、武田との併走、そして村上の絶妙な走り、そして何より、脇本の先行力の前に敗れた。悔しさを噛み殺しながら「自分のミス。脇本君を警戒? いえ、自分の(叩きに行く)判断が遅かった」と声を振り絞った。

 山口幸二は「叩くべき所の、ワンチャンスに賭けようという作戦。まぁ深谷君に任せていましたから。今日は彼の判断ミス。残念」と時折り怒気を含ませながら振り返った。

 九州勢は合志正臣が、表彰台へあと一歩の4着。「伸びたけど…。もう少し前にいられれば面白かったかな」。

 井上昌己は、懸念していた後手を踏む展開となって「情けない。何も出来なかった。合志さんに申し訳ない」と天を仰いだ。それでも10年松戸ダービー以来となるG1決勝戦の舞台に戻ってきた。08年GP王者が、完全復活への狼煙を上げた。

 ここまでG1では2次予選進出すらなかった柏野智典。それがあれよあれよという間に、初の大一番出走。シンデレラボーイと呼ぶには若くない33歳だが、今節を大いに沸かせた1人。4日間最後まで『位置決めず』のコメントで、自分を貫き通した。「今日は一か八か、空いたところを思い切って突っ込むしかないと思っていた。最終バックで深谷君ラインの3番手にいたときは、一瞬夢を見た。冷静には走れたけど仕方ないですね。でも表彰台も見える所までいけた。今回はたくさんの収穫を得ることが出来ました」。

レース経過
 単騎の柏野智典がスタートを出ると、2番手以降は大きく車間が空く。脇本雄太、村上義弘らが追いかけ、村上が前の柏野に追い付くが、初周を過ぎて武田豊樹が押し上げて前受けとなる。武田に神山雄一郎、柏野と続き以下の隊列は、深谷知広—山口幸二、脇本—村上、井上昌己—合志正臣で周回を重ねる。
 青板の4コーナー手前から8番手の井上が上昇を開始。前受けの武田は誘導を残したまま井上—合志を入れて3番手。以下の隊列は変わらず一本棒。後方になった脇本が1センターから仕掛けると、武田も合わせて出て誘導を交わす。打鐘手前で脇本が主導権を奪取して村上の追走。武田は3番手に飛び付くが、巻き返した深谷も武田の外にへばりつく。ペースを握った脇本が、主導権を守り最終回へ。
 逃げる脇本に村上。3番手以降は武田—神山(イン)と深谷—山口で併走。柏野が続き、井上が8番手。2コーナーから外併走の深谷が強引にまくりを打つ。最終バックを通過し番手の村上が深谷をけん制しながら外を踏むと、武田が2センターで村上をすくって出る。神山は山口とからんで追走いっぱい。逃げる脇本が先頭のまま直線を迎える。
 4コーナーで村上を弾いた武田が、逃げる脇本をきっちり交わし3度目のG1制覇。脇本がしぶとく粘り込み2着。コースを縫って強襲した合志を制し、神山が3着に入る。
 

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