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「ほとんど小松島記念と一緒、あの展開が…。あとは小松島記念は自分でまくって行ったっていうだけで」
表彰式から引き揚げてきた佐藤友和は、こともなげにさらりと2度目のタイトル奪取を振り返る。今年初優勝となった小松島記念。その前回に続きG1の決勝でも単騎を強いられたが、小松島同様に先制したラインの4番手をキープしての連続V。佐藤の読みがズバッと決まった。
「きょうはなんか獲れる気がしてたんですよね」
例によってのビッグマウスが、心地よくインタビュールームに響き渡る。
「当初の予定は脇本(雄太)君の3番手を考えていた。でも、脇本君は前を取ったし、中団には長塚(智広)さんも上がってきたから、(京都勢の後ろで)4車の方がいいかなって。川村(晃司)さんは僕が思った以上に踏んでたんで、そういう意味では僕に展開が向きました。番手まくりが意外につらいのもわかっているんで。その3番手でうまく脚をためられた」
京都トリオの先頭を務めた川村が、深谷知広、脇本を制して果敢に主導権。番手で車間を切った稲垣裕之が、最終2角手前から番手まくり。稲垣の後ろを村上博幸が磐石の態勢で固めているだけに、京都勢には絶好の流れに思われた。しかしながら、佐藤だけは京都勢の苦しい胸のうちを見透かしていた。
「自分が踏み込んだ時に、昨日と同じ感じがした。それで(行けるのが)わかりました」
当日に4回転へのギア変更。今年の前半は大ギア対策に追われ思うような成績を残せず歯がゆいレースが続いていたが、ここにきてようやく自分のモノにしていた。
「当日のギア変更が9時半までなんですけど。ギリギリの25分まで迷いました。小松島は4.08だったけど、今回は4回転にした。踏む距離の違いを考えてですかね」
踏み込んだ瞬間に確信したVロード。G1のタイトルは一昨年の8月、宇都宮で行われた全日本選抜以来となる2度目の制覇。
「2度目の優勝はゴールした時の余裕が違いますね。あの時はガッツポーズが考えられなかったけど。きょうは(ゴールして)ちょっとしてから」と、ウイニングランでは右手を高々と挙げてファンの声援に応える余裕も見せた。これでダービーの成田和也、高松宮記念杯の武田豊樹に続き、今年3つ目のタイトルも88期の佐藤が手に入れた。
「(88期の優勝は)意識していました。自分のイメージ通りこれているんで、さらに伸ばしていきたい。グランプリのことはいつも考えているし、今年は獲ります」
グランプリの優勝宣言で締めくくった自信こそが、佐藤の強さの源だろう。
深谷は不発も長塚が執念の突っ込みで2着。
「深谷が勝つようにやってくれればと思ってたし、届く位置を取ってくれたけどね。最後にコースが閉まったんですよね」
番手まくりの稲垣に続いて追い込んだ村上博幸の3着が、京都トリオの中での最先着。
「車間を切れなかった。後ろに(佐藤)友和がいるのは想定してたけど、難しいですよね。内を締めてるのもしんどかったです…」
5番手を確保した深谷知広だったが、脇本とかぶってなかなか抜け出せず。最終3角でようやくコースが開いたが、時すでに遅く4着まで。
「キツかった…。ホームで行こうとしたときに脇本さんも来たので。これでG1は4回連続決勝で失敗してますね。でも今回は追い込んでやってる段階だったので、決勝に乗れただけでも良かった」
脇本の反撃に合わせて番手発しの稲垣。悲願のG1制覇は、またもお預けとなった。
「最終ホームで脇本のスピードがよかったし、去年の競輪祭(決勝)と全く同じ展開でした。まだ川村さんも踏み上げてたけど、今回は失敗しないように行かせてもらいました。行かれてからじゃ僕も(村上)博幸もないし、きょうはある程度長い距離を踏む覚悟はしてましたから。力を出し切って、その上を行かれたので、また練習するしかないですね」
高松宮記念杯では逃げて準V。今シリーズも勝ち上がりではまざまざと、その先行力を見せつけた脇本だったが、前受けからの巻き返しは不発。
「失敗です…。自分が前になるのは予想してたし、その上で自分の先行意欲がどこまでと思ったけど弱気になった」
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