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福島の同期トリオが鉄の結束で、絆を競走で示した。さすがに同じ釜のメシを食った仲。ミサイル駆けの渡辺に、貫禄の番手・山崎、そしてダービーVでGP出場を決めている成田と、それぞれの役割分担も的確で、その時点でどのラインよりも1歩リードしていた。
「今回は初日(オリオン賞)の1着もそうだし、決勝も一成くんのおかげですね。最近はF1戦でもしっかり優勝できてたし、少しずつ上積みがあって、今回決勝に乗れば(GP出場も)面白いかなっていう感じでしたね」
今年はG1制覇が難しく、GP出場が危ういと判断すると、賞金額での出場を目指してせっせとF1戦を渡り歩いた。今回、初日のオリオン賞を制した際も「賞金的もデカイっすね。ここからは金にうるさいですよ(笑)」と冗談めかしていた。けれども、それが思わぬ副産物を生んだ。
「F1は人気も背負うし、プレッシャーのなかで良く頑
張ったと思います。今回、調子が良くなった原因は、新田康仁さんにシューズのセッティングとかシューズの踏み方を、浅井(康太)くんに自転車の乗り方とか色々聞いたんです。F1が続いたおかげで新田さんと一緒になれて、あれが自分の転機になったと言うか。ここ5場所ぐらい連続で一緒だったんですけど、そのなかで靴のセッティングの話とか色々して、あれを真似してやったら成果が出ました。いいように転がりましたね」
GPの権利を射止め、あとは年末に照準をしぼるだけだ。
「今年はここまで88期が全部のタイトルを取ってるのは嬉しいかぎり。今回も(前の頑張りで)取らせてもらったのですごく嬉しいですけど、何よりホッとしたのが一番デカいですかね。あとはGPでうまくできればと思います。ほんとに一成くんと成田さんのおかげで取れました」
2着には山崎マークから鋭い差し脚を伸ばした成田和也が入線した。「渡辺君が積極的な競走をしてくれたおかげ。彼を出させてしまったらやっぱり強いよ。また、山崎君が追い上げた底力もすごかった。最後は遠慮も無く抜きにいったけど、ダメでしたね」と、かつてナショナルチームでしのぎを削った盟友、そして公私ともに仲の良い友人の頑張りをそれぞれ称えた。
これで佐藤友和、山崎芳仁と同期トリオでのグランプリ出場が決定した。その件を聞くと「グランプリのことは何にも考えていなかった」とキッパリ。それでも、たしかに3人で決定したのはいいことです」と頬を緩めた。
岩津裕介は切り替え、切り替えの瞬時が判断が仇となり後方に置かれたが、落車を避けて3着まで飛び込んできた。
「結果的に良い位置にいられなかった。レースとしてはダメ。もっと前にいなければダメでした。でもG1は何があるかわからないですね。あの展開で表彰台に乗れるとは思わなかった」
レースは3名が落車する波乱の展開に。バック前から満を持して仕掛けた武田豊樹だったが、落車のあおりで大バックを踏まされては出番がなかった。
「山崎君が一旦離れていたから追いつくのに脚を使うと思い、番手まくりは打てないと思っていた。状況を見て、最後はまくれるとは思っていただけに、ああいう展開になってしまったのは悔しい。とくに注目度の高いG1の決勝ですから」
福島勢の先陣をきったのは*渡辺一成。脇本雄太を相手に“世界のダッシュ”で魅せ場を演出して、山崎Vの立役者となった。レース直後はクールダウンに没頭し、記者の質問を次々と遮ったが、時間を置くと淡々とした表情で競走を振り返った。
「(自分の)やれることは山崎さんの力になること、そして脇本君を相手に抵抗することでした。欲を言えば3人で表彰台に乗りたかったけど、仕方がない。脚を残すことなく、すべての力を出し切れたので」
小野俊之は落車に乗り上げることはなかったが、1歩目の踏み出しで近畿との連結を外してしまった。
「ああなったのは今の力ですね。体調が普通に良ければ付いていけたけど…。今回は流れ1本でした。もっと鍛えて出直してきます!」
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